悪魔の熱情リブレット



 アウレリアは長い木の階段を一気に駆け降りた。

(早く!早くアンドラスのところに!!)

それしか考えられない。

響く鐘の音を聞きながら焦りと不安だけが膨らんでいく。

やっとのことで時計塔の外に出た。

「アンドラスー!!」

倒れて全く動かない彼に駆け寄る。

骨を折ったのか、腕や足が不自然な方向に曲がっていた。

頭も打っているらしく、白い髪が赤く染まっている。

「ねぇ、起きて!?アンドラス!死なないでしょ!?前言ってたじゃない!!悪魔はちょっとバラバラにされるくらいじゃ死なないって!!嘘だったの!?ねぇ!!」

彼の体を揺さ振ってから気づいた。

「う…そ…」

胸に刺さる聖なる十字架。

「う…そだ…」

アウレリアはその場にへたり込んだ。

「何で!?何で十字架、刺さって…!嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!」

彼女は悪魔を殺す道具のことを思い出し、半狂乱になった。

頭を振り乱し、アンドラスの体に縋る。


「ねぇ!!起きてよ!!アンドラスーーーーーーーー!!!!!!!!!!」


< 283 / 308 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop