悪魔の熱情リブレット


 ティアナの回復を見届け、「明日も様子を見に来る」と言って夕暮れ時に別れを告げたバシン。

瞬間移動で魔界に帰ったかとおもいきや、彼は昔ティアナが両親と共に住んでいた民家の中に入り込んだ。

「おわ~、埃っぽいな~」

何年も掃除されていないため、部屋の中には蜘蛛の巣が多い。

「全く…大雑把な場所しか知らんから、後は自分で探せって…。横暴だよなー、うん」

ざっと部屋を見回し、バシンは本が置いてある棚に目をとめた。

「この辺か…?」

独り言を言いつつも本棚に近寄るため一歩足を踏み出した時、ドカッと何かにぶつかり自分の足下を見下ろした。


「何だ?本?」

ページが開かれたまま床に落ちていた古い本。

バシンは埃を掃いながらその本を手に取り観察した。

開いていたページにはカラスの頭をした悪魔の絵が描かれている。

「お、これだな」

バシンは満足そうに頷くと、それを持って今度こそ魔界に帰ったのだった。





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