悪魔の熱情リブレット
つかず離れず、ティアナの後ろ姿を見守るアンドラス。
少女は確かに教会に行き、少しの間出て来なかった。
アンドラスが外で待ちながら欠伸をしていると、教会の分厚い扉が開きティアナが中からひょっこりと顔を出した。
(終わったか)
さて、まだ彼女が言った六時までかなり時間がある。
ティアナは周りをきょろきょろ見回し、辺りを警戒しながら町に続く階段を降りていった。
明らかに動きが不自然だ。
アンドラスやシルヴェスターがいないかどうか注意して周囲を確認しているようだが、全く意味をなしていない。
(どこに行くんだ?)
家には戻らず階段を降りてすぐ右に曲がった彼女に疑いの眼差しを送る。
(このままだと…)
――町の外
そこでようやく気がついた。
(そうか、ティアナの狙いは一人で町の外に出ることか)
「そうはさせないよ」
アンドラスは妖しく微笑んだ。