神様がくれた夏
どこか行って。
そう願うけれど、夏目涼はあたし達を見たままだ。
いや、言葉に少し間違いが含まれているかもしれない。
夏目涼は〝あたし達〟を見ているのではなく〝あたし〟を見ているのではないか?
あたしと夏目涼の距離、ざっと20メートルほどだろうか。
目が合っているような気がする。
気のせいであって。
あたしの勝手な思い込みであって。
そう強く願う。
けれどそんな願いは届かないと知る。
見てる。
夏目涼はあたしを見てる。
なんだかその瞳が同情に似たような何かに見えて――――