鈴屋のひとひら










 いつまでたっても、猫はやってきませんでした。




暖炉の火は灰になり、甘い香りもすっかり冷めてしまいました。





 青年は我慢できなくなり、工房の外へ飛び出しました。




雪の積もった朝でした。朝日に光る雪の眩しさが、青年の目の前を真っ白に染め上げます。



青年は高々と叫びました。




「ああ、これも冬なのだな!」
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