【短編】カフェ・モカ
カフェ・モカ
カフェ・モカを一つ

上には生クリームをトッピング。

これがいちばん重要。

“たっぷり”ね。

いつものカフェでいつもの注文。

もちろん席だっていつも決めている。

入り口を入ってすぐ右、奥まったところにある二人がけのテーブル。

マスターの趣味で選んだという家具のほとんどは、知り合いの職人さんの手作りだとか。

温か味のある木目を指でなぞる。

緑の匂いがしてきそう。

遠くからバタバタと足音が聞こえた気がした。

シュン、キミの足音だ。

どうやらあたしの憩いのひとときは、あと30秒もしないうちに消え去るらしい。



< 1 / 37 >

この作品をシェア

pagetop