窓際のブラウニー



この一年いろんなことがあったようで、何もなかったのかも知れない。



我が家は何も変わっていない。



一年前と同じように、家の中には冷え切った空気が漂っていて、それを気付かないふりをして過ごす3人。



家の中には、3人のため息が渦巻いていた。




唯一変わったことと言えば、私は田所さんという安らげる場所を見つけた。


会えなくなった今も、その安らぎの場が消えることはなかった。



安らぎと言うよりも、逃げ場なのかも知れない。





我が家の問題は何ひとつ解決していない。

私は辛いことがあると、田所さんを思い出し、現実から逃げた。


そのせいで、より、家族は崩壊して行った。




あの人はこんなことを望んではいない。


私に幸せになって欲しいといつも言ってくれた。



私は田所さんの手を待っていた。


ここから連れ出してくれるあの大きな手・・・





でも、田所さんの出した答えは違っていた。




雪子さんを愛している。


一生・・・







< 136 / 180 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop