窓際のブラウニー
はぁ…
お風呂の壁に指で書いてみる。
『田所柊二』
ドキドキした。
さっきの夫の焦った表情を忘れたくて、今日の田所さんの笑顔を思い出す。
私は勝手な女。
自分は、他の男性に恋をした。
夫が他の女性に恋をしても、責める権利はないのだ。
例え、私と田所さんの間に今後何もなかったとしても、私が彼に抱いている感情は消えはしない。
私の中の田所さんへの愛は、永遠に続くように感じられた。
なのに…
涙が出るのはどうして。
夫が私を女として見ていないことなど何年も前からわかっていたじゃない。
高級クラブで毎晩飲んでいることも知っていたし、
お店の女性とのメールも今までは堂々としていたじゃない。