一度の保証(短編集)
ママは、昔からこんな感じだ。


高校生になったあたしは、友達に聞いてもらう事も度々あった。


叩かれるのは当たり前


少しでも言い返すと、もちろん叩かれる。


逃げると、追い掛け回され叩かれる。


成長してきたあたしは、叩き返すと、また追い掛けまわし、挙げ句のはてに、包丁を持ち出し追い掛け回してきた。


弟は、怒られない事をいい事に、ママがいない時の兄弟喧嘩で、ママと同じように包丁を持ち出してくる。


ママが、帰ってきて言うと、あたしにママは言う。


あんたも悪かったから拓哉も怒ったんでしょ。


もう、あたしの言葉になんの威力もなかった。


だから、あたしは、次の喧嘩で、包丁を先に持ち出した。

あたしは、要領も悪いのだろう。
ママが、家にいる時に、してしまった。あたしも怒りにもう我慢できなかったから。ママが、二階から下りてきてあたしを見て、大声を張り上げ蹴り殴りした。


拓哉は、馬鹿だとママの真後ろでベロベロバァと両手を付けしていた。


あたしは、何をしてもだめ。


友人は、言う。


それ、虐待だよ。
有り得ないよ。
あたしの家 そんな事ないよ。
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