一度の保証(短編集)
拓哉の割ったコップの処理が終り、拓哉もいる前で、あたしは、ここぞと思い聞いた。


「ねぇ!ママ!どうして拓哉の事 怒らないの?!」


「なに?ももか?」


「だから!どうして拓哉のこと たたいて怒らないのよ!?
あたしの時は、叩いたじゃない!
あたしは、コップ一個で、拓哉なんて四つもなのに!」


「ももか!!あんたは、なんて冷たい子なの?!
あんなに割れて、拓哉が怪我してないかの方が大切でしょ!それに拓哉は、すぐ謝ったでしょ!」


「あたしだって一昨日、すぐ謝ったもん!エコヒイキよ!」


「謝り方が違うのよ!拓哉とは謝り方が違うでしょ!拓哉は、オロオロして謝ってたでしょ!」


「あやまり…」


分かっていたのに、ママに言ってしまった。


言ったところで、ママは変わらないし、こんな差もよくある事だったのに、つい…


あたしは、一昨日の出来事で、拓哉の今のを見たからつい…


あたしは、自分の部屋に行き、夜になると、今日の出来事を思いだし、窓を開けて空を見上げる。


心が落ち着くまで気の済むまで寒くても熱くても季節なんて関係ない。


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