一度の保証(短編集)
「何ゆうねん!
ちょっとどころか愛してるちゅーねん!
なんか誰かに言われたんか?」


「ううん、違う
愛されてるって分かりたくて」


「久美、俺 久美に今まで、一回でも店来てとかゆうたことあるか?」


「ない」


「ないやろ?
久美は、客やと思ってないってことやからやで?
わかるやろ?久美?」


「うん。
かーくん、ほんまに愛してくれてる?」


「おう。愛してる。
久美しかおらんわ!」


久美は、シャネルのバックから、貯金していた通帳をかーくんに渡した。


「これ、まだ貯まってないけど、通帳とはんこ
かーくんが持ってて…
かーくん、久美を愛してるって証明して?
そんで、証明してくれた時、二人でこの通帳にまた貯めてかーくん夢叶えよう?」


「おっ おう!いいよ!!
久美、ほんま愛してるって!いくらでも証明したる!」


「うん。
かーくんのお店の前まで久美も行っていい?
ほんまに証明してな?」


「うん?うん、いいよ?」


久美は、かーくんの働くビルの三階の店の前まで見送り、かーくんが、店に入ったあと、そのビルの6階まで上がった。


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