一度の保証(短編集)
あたしは、そんないつの間にか小さく見えるママに頭から手を下ろし言った。


「醤油、ごめん…ね。綺麗になるかな?」


「すぐ拭いたから、なるわよ。大丈夫」


そう言い、拭きとった雑巾を洗面所まで持っていき、ごしごし洗っているママ


あたしは、あたしが死んだ事で、やっとこの人、ママは、あたしへの酷い行いが分かったのだと、気分良くした。


あの医者は、嘘を言っている。


あたしは、確に死んだ。


あの落ち方で今も無傷なわけもなければ、例え生きていたとしても、脳死状態のはず。意識がもどったとしても、言葉もまともに話せるはずがない。


あたしは、死んだ。


あたしは、何かに勝利したように思っていた。


家で過ごすあたしは、今までと違い、大きな安堵で過ごしていた。


そんなあたしとは反対に、拓哉は、あたしを睨みつけていた。


パパも仕事


ママは、買い物


拓哉とリビングで顔を合わせた時

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