一度の保証(短編集)
座れるソファを見つけて、あたしは、聞きたい事のタイミングを掴もうと気をはっていた。



水槽に目をうつした裕馬君に、ほんの少しできた間



あたしは、何が泳いでいるのかになんて目もくれず、裕馬君の横顔を見つめながら声を、出した



「裕馬君 本当に 本当に 彼女いないの?」



「おらんよ?前もゆわんかった?」



「あたしね、裕馬君が、本気で好きなの。付き合いたいの。付き合えるなら、あたし 両親も真剣に説得してこっちに出てきたいと思ってる」



すがるような告白をしてしまったあたし



緊張のあまり、周りの音が聞こえなくなったように感じ 裕馬君だけをみつめた。



裕馬君は、あたしの目を見てるのだろうか、何も返事をされないまま、考えているのか、言葉を待つも聞こえてこない。



これ以上何か言える余裕もないあたしは、顔を見合わせたままだった。



「えりな、俺 本間に彼女は、ホストしてからずっといてないで。
えりなが、相当真剣って事も 今よく分かった。だから、俺もちゃんと答えるわ」



「うん」





「俺な、結婚してんねん。てか、結婚してん。
二ヶ月前に 籍入れた」



「え?」


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