一度の保証(短編集)
「話して下さい」


「君の生還は、亡くなってから二日で約束されたんだ。その証に、傷は、みるみる治っていった。
お母さんは、しっかりしているよ。
色々知識があったのだろう。
想い願いが届き約束されるまで、ぎりぎり皆三日間かかるのが普通だが、君は、たった二日で、しかも三日目まで余裕もあった。
お母さんは、三日目の朝からすぐ役所を訪れた。
そして、君に お母さんは、自分の残っている保証を渡す手続きを行ったんだ」

「そんなこと…できたんですか?」


「できるんだよ。条件を満たした者ならできるんだよ」


「条件?」


「受け渡せるのは、親が子への場合のみ。
血縁の繋がりがある場合のみ。
そして、期限三日以内に生還が約束された者のみ」


あたしは、言葉を失った。


ママは、あたしの事 愛してくれていたんだ。


しかも、こんなに。


分からないよママ
分からなかったよ ママ
分かりずらいよママ…


瞳に、涙を溜めるあたしに医師が言う。


「お母さんは、君が目を覚ますまでの間、ずっと君の側にいたよ。
それからね、私が診察に訪れた時、一度聴いたことがある」


「なんですか?」

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