一度の保証(短編集)
二月 二十三日

午後 一〇時 四十一分

本人自宅にて、飛び降り自殺


二月 二十五日

母 美佐子の想い願いにて生還が約束される。


―――――!


やっぱりあたしは、死んでいた。


ママのお陰で生き返れた。

ママの想い願いで…


あたしは、つづけて三枚目を見た。


二月 二十六日

午前九時


母 美佐子にて、娘 桃華に、保証を受け渡す。


受け渡す?


あたしは、一枚目を見た。

あたしの保証は、消えているはずなのに、あった。


ママが あたしにママの保証をくれたの?


あたしは、三枚の紙を持ち、あの医者のところへ行った。


病院内を走り回りあの医者を探す。







見つけた!


あたしは、走りだし医者に紙をつきつけた。


「君… 楠木さん!」


医者は、あたしの手の紙を見ると言う。


「こちらに来て下さい」


医者に通されたのは、あたしの入院していた病室


「これ、これはどういう事ですか?」


「うん、そうだね。私は君にちゃんと話すべきだと思っていたから、こんなに早く知ってくれて良かったよ」


医者は、言葉とは裏腹に、険しい目をしてあたしを見る。
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