スロウ・メロウ


「お前普段マトモにノート取らねえのにな」


軽口をたたいたつもりだったのに。あおいはやけに真剣な目をしていた。


「余計なお世話ですー…やっぱり梶と山代くんじゃ全然違うよねー扱いが」

「ワリィかよ」

「梶らしいから別にそれはいいけど」


フンと鼻から息を吐く。長年無駄に付き合ってんだ扱いが変わって当然だろ。



「でも山代くん、不器用だけど……優しい人なんだね」



振り向いた先にいつものあおいはなかった。頬を赤く染めて、口許を緩ませながらプリントを見つめている。


――…マジかよ。



< 32 / 56 >

この作品をシェア

pagetop