恋率方程式
信じたい。
心からそう思っている。
今よく考えると、この時点で何度もアルトに救ってもらっている。初めて人という存在が暖かいと知ったのもアルトのおかげだ。
だったら−−
「…わかった。」
「そうか。よかった。」
辞めよう。
人を殺す醜い争いを。
そして−−
「お前を、信じよう。」
「…!」
少し驚いた様子のアルトだったが、すぐに笑顔を向けてきた。
眩しかった。
そして愛おしいと思った。
これもまた初めて。
それだけで暗い闇の中から出てこれた気がした。救われた気がした。
「ありがとう。」
「俺もだ。イチ。」
ありがとう、も初めて。
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