。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「あいつが何者かの恨みをかってたって推定するのが妥当だよな。何か敵が多そうじゃね?」
と戒が「いしし」と笑う。
笑い事じゃねぇけど。でもあたしだってそう思う。
「しかし、それだったら何故彼が退院するあのタイミングだったんですかね。今までだって幾らでもチャンスがあった筈ですよ?」
キョウスケの意見にあたしは「それもそうだ」と納得。
何も起きてるときじゃなく、寝てるときを狙えばその方が成功する可能性が大きい。
「狙いは鴇田だけじゃなく、俺たち全員だったとしたら―――」
戒が手を組み合わせ、宙を睨むようにして視線を険しくさせた。
「っつっても共通した敵なんて―――」
言いかけて、はっとなった。
一人だけ居る―――
「一結」
キョウスケがぽつりと呟き、あたしと戒はキョウスケに注目した。
そう、イチだ―――
あの女はあたしたち全員の破滅を狙ってる。
動機がある。
戒はちらりと探るようにキョウスケを見て、口元を引き締めた。
「まぁその線が妥当だけど、少なくともスナイパーはイチじゃない。
あの細腕でM240をぶっ放すのは無理だ」
現場に落ちてたんだろうな、戒が弾をつまんで宙にかざした。