。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。



「おなかいっぱい~」


会席料理を全部たいらげるまで、その間あたしたちはドクターとタイガと変な組み合わせの二人とくっだらない!会話をしながら何とか食事を終えた。


「うまかったよ。ごちそーさん」


「いえいえ。私もあなたたちとお喋りできて楽しかったですよ♪と言うか恵一と二人で食事なんて色気がないしつまらないですからね」


ドクター……あんた何気にひでぇな。


「うさぎちゃん♪今度は二人きりで食事をしようね★」


こっちの変態タイガの言葉は無視して、


あたしたちはようやくあの最凶コンビから開放された。


そのあとはリコとちょっとお茶をして、「一人で帰れるよ~」と言うリコを無理やり家まで送り届け、


どこでイチが狙ってるか分からないからな。あたしは目を光らせていたわけだけど、その日は何もなかった。


そんなわけで21時前には帰宅。



慌しく風呂に入り、


「はぁ、疲れた~。ってかあたし結局何しに行ったんだ??」


と、肩を揉み解しながら廊下をとことこ。


疲れ切ってぼんやりしていたから、すぐ背後で黒い気配が迫ってきたことに気付くのが一瞬遅れた。


あたしの両脇でぬっと手が伸びて、あたしは


「!」


慌てて振り向くも、すぐさまあたしの口を塞ぐように力強い手のひらで口を覆われ、声も出す暇もなく近くの部屋に引きずり込まれた。





―――何!?


まさかイチ―――!!





パタン



襖が閉まる音を暗闇の中で聞いて、口を覆われたまま上を向かされる。


あたしは空いた手で拳を造ると、そいつの腹に一発決めてやろうかと思ったが、


その手を封印されるように、


あたしを引きずり込んだヤツの腕がおなかに回され、ぎゅっと抱き寄せられた。






「拉致成功♪」





聞き覚えのある声で、耳元で甘く囁かれて、




「…か!」


戒!!


と、言い終わらないうちに






あたしは戒の唇で口を塞がれた。






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