。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。

イカサマ!?


◆ イカサマ!? ◆


………!!


びっくりし過ぎて目を閉じるのも忘れたぐらい。


あたしの唇から戒の唇が離れると、同時に爽やかなミントの香りも遠ざかっていった。


それでも戒は名残惜しそうに


チュ


あたしのおでこにチューをするとようやくあたしのおなかの手をゆるめた。


「ってかお前!びっくりさせんなよ!!!」


あたしが喚くと、


「だってマサさんに見つかるとまたガミガミ言われるだろ?」


と戒が眉を吊り上げる。


「まー、そうだけどぉ」


でも、やること派手なんだよ!


あたしはイチか、もしくは賊か何かが入り込んだのかと思っちまったぜ!!


ってかここ誰の部屋??


あたしがきょろきょろしていると、戒がリモコンでパっと灯りをつけた。


部屋の隅に置かれた折り畳みのテーブルに、呪いの藁人形が置いてある。


その首に釘が刺さっていて、タクの写真がまっぷたつに引き裂かれていた。


ぎょっと目を開いて後ずさると、


その脇にリコの写真が!?「I LOVE RIKO」とヒステリックな赤い文字が書かれていた。




……ああ、誰の部屋か確認するまでもなく、



「ユズ(本名、譲)さんの部屋。あの人今日帰りが遅いってさ~」


戒がのんびりと言う。


やっぱりな。




てかユズ…そこまでするぐらいタクが嫌いなんかよ。犬猿の仲ってのは知ってたけど。


てかヤクザが呪いの藁人形に頼るなよな。







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