。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。



「マクラ!」


あたしがマクラを追いかけて戒の部屋に足を踏み入れると、


戒は部屋に居なかった。


電気はつけてあるけど、布団も敷かれてないし、折りたたみ式のテーブルも脇に退けてある。


戒―――…あいつもどこに行ったんだ?


と訝しげに思ったが、とりあえずはマクラを拾うことに。


するとマクラは








「朔羅さん、ごめんなさい」








と声を発した。


マクラが喋った!?


………って、んなわけねぇ!!


ありゃ戒の声だ。


しかもその声は押入れから聞こえてくる。よく見るとマクラのシッポに細い糸がくくりつけてあって、その糸も押入れに続いていた。


「何やってんだよ、戒」


あたしが押入れの襖を開けると、押入れの下段に


戒が体操座りをして、丸まっていた。


戒は俯いたまま、




「戒くん、反省中です」と言って襖を内側からぱたんと閉める。




反省―――……?


「てかお前、本当に何やってんだよ」


意味不明な行動にあたしは怪訝そうにして、襖を再び開けた。


戒は体育座りをしたまま顔だけを上げてあたしを見上げてくる。





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