。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。

*一結Side*



◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.◆

.。*†*。. 一結Side .。*†*。.


夜も21時半。この日は秋ドラマ撮影のため、つい一時間ほど前までスタジオにいた。


あたしは主人公の親友役。


親友と同じ人を好きになっちゃって、仲の良かった主人公と決裂。


好きな男を巡って~…というありきたりなストーリー。





相手方の男が、少しだけ響輔に似ていた。





だから感情移入できたって言うのかな。


だけど休憩時間に少しその俳優と喋る機会があって、話してみると響輔とは全然違った。


爽やかできさくで。素直な人懐っこい笑顔が人のよさを物語っているようだった。


響輔より数十倍いいじゃん!


響輔はいつも無表情で、何を考えてるのか分かんないし、全然笑わないし、そもそも会話が成り立たない。





あたし何で―――あんな男のことを好きになったんだろう……





一発OKを貰って予定よりだいぶ早く帰れるってのに、帰りの夜の道路は適度に混雑していた。


おまけにさっきから雨が降り出して、視界も悪い。


渋滞って嫌なのよね。


あたしはフェラーリのギアを何度も入れ替えながら変速して、イライラしながら隣をちらりと向いた。


ここにもイライラの元が…


助手席では協力者の男……もとい“玄蛇”がシートに胡坐をかいて膝の上の小さなノートパソコンを何やらじっている。





「~♪かーごめ、かごめ


かーごのなーかのと~りは




いついつ出やる♪」





軽やかにかごめの歌を歌って、まるでピアノを弾くような気軽さでキーボードを操っている。


「てかやめてよ。その歌」


とあたしが目を吊り上げても、玄蛇はあたしの言葉なんて聞こえてないと言う素振りで歌を歌い続けている。



「つ~るとか~めがすべった~


後ろの正面だぁれ~♪



よし、来た」



パチン


何かのキーを押して、玄蛇はあたしの方を楽しそうに見た。


「てかさっきから何やってんのよ、あんたは」


「君のホテルの監視カメラの映像をハッキングしたんだ。


そろそろ“ヤツら”が何か仕掛けてくるだろうと思ってね」




ヤツら―――…?






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