。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。



「大丈夫か?」


涙が乾き始めていた頃だった。ようやく現実を受け止める準備をしようとしていたのに、


困惑したような、或いは心配するような響輔の顔を見て、またも涙腺が緩んだ。


「響輔……」


ぐにゃりと視界が歪んで、涙でぼやけた。


「しっかりしい」


慌ててあたしの体を支えるように背中に手を回してきた響輔。


あたしはその腕に縋った。


半袖から露になった腕が、力強くあたしの背中を支えてくれて、その細いのに程よく引き締まった腕に触れると、あったかくて、


“生きてる”って思えた。


「響輔…どうしよ…鴇田が……」


「鴇田さんがどないしたん?ゆっくりでええから一から説明してや」


そう言われてあたしは鴇田が事故に遭ったことをとつとつと話し出した。


涙でしゃくりあげながら、酷くたどたどしいし、時折感情的になったからあたしの説明が全部伝わったのか謎だったけれど、


「確認してみるわ。御園医院やろ」


響輔はすぐに状況を理解して、御園医院に電話で鴇田の容態を確認してくれた。


しかし兄のドクターは不在で、鴇田の容態は分からず。


響輔は鴇田組のもんじゃないし、迂闊に教えられないと踏んだのだろう。


「ちっ」


舌打ちしながらも、今度は鴇田組に電話を掛けた―――と思いきや、


「もしもし。タイガさん?響輔です」





相手は―――タイガだった。








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