。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。



「一ノ瀬くんが怪我したって聞きましたけど」


「ああ。今手術中」


あたしが説明するとキョウスケも小さく吐息をついた。


「まぁアキレス腱ってのは思った以上に簡単に切れるものですからね。


でもアキレス腱断裂だったらそれほど大きな手術にはなりません。


すぐに良くなりますよ」


そう言って慰めてくれるキョウスケ。


「リコさんも付き合ってくれたんですか。おうちの人は大丈夫ですか?」


さらにはリコの心配まで。


「あ、はい!大丈夫です。あたしもうちには電話で説明したので」


思わぬキョウスケの登場にリコは緊張で声が引っくり返ってるし。


「そうですか。じゃぁ落ち着き次第俺がリコさんちまで送っていきます」


“俺が”……って。


「まさかと思うけど、おめぇ車で来たんじゃねぇだろうな」


思わず眉を吊り上げてキョウスケに聞くと、


「車ですよ。バイクで来たらお嬢たちを連れて帰れないじゃないですか。


マサさんをはじめとする組員のひとたちはもう飲んでたし。飲酒運転になっちゃうし」


キョウスケが無表情に答える。


こんなときに限ってキョウスケは飲んでなかったみたいで…


ああ…千里の手術が終わっても、今度はあたしたちが手術室行きに違いねぇ。


もしかして手術室すっとばして霊安室行きかもしれねぇな(泣)


「朔羅、俺はお前と死ねるなら本望だ」


戒がポンとあたしの肩に手を置いて……でも顔は真剣。


やっぱ戒もキョウスケの運転は怖いみたい。


でもリコだけは分かっていないのか、首を傾げて目をぱちぱち。


「死ぬ前提で話を進めないでください。


それより戒さん。どうしたんですか?


体操着なんて着て」



キョウスケの指摘であたしはようやく戒が行きの制服ではなく、体操着だったことに気付いた。



あれ??さっき理科室に来てくれたときは制服だった気が……


いつ着替えたんだ??







「あ~……これねぇ」







戒は引きつった笑みを浮かべながら頭の後ろに手を置く。






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