。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。


『似合わない』


って発言にショックを受けたのか新垣 エリナは唇を噛みながら、今にも泣き出しそうに無言で立ち去っていった。


「え、おい!ちょっと!」と戒が慌てて後を追ったが、僅かにこちらを振り返り、


「響輔、頼んだぞ」とあたしとタイガを目配せ。


残されたあたしはぼーぜん。ただ戒と新垣 エリナの行方をぼんやりと目で追うことしかできなかった。


「てかタイガ…おめぇ詳しいな」


「ホントだよ。女のあたしでさえ知らなかったのに。まさか女装趣味が??」


と、リコが気味悪そうに顔をしかめてドサクサに紛れてちょっとキョウスケに身を寄せる。


「まさか~。僕に女装趣味はないよ。したこともないし。


その手の職業をしているツレが居るから色々知ってるだけ~」


「そのツレってのは女?もしかしてホンモノのおネエ??」


「もちろん、女性だよ♪」


その事実にまたもびっくり。こいつ、女の友達なんて居たんかよ。


結局タイガが何を言っても驚くことばかり。


キョウスケはそれほど気にならないのかアイスコーヒーに口を付けて




「そのツレってのは、メイクさんか何かですか?それとも常に新作を追うモデル…或いは



女優―――とか」




キョウスケは何気なく聞いたに違いないが、その真意にはっ!と気付いた。


――ーキョウスケはイチのことを聞いているんだ。


タイガは探られてるってことに気付いているのか気付いていないのか、


「まさか♪どっちかって言うと対モデルさんや女優さんだよ。


僕のツレは女性ファッション雑誌の編集長さ~」





女性ファッション雑誌の編集長―――…?




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