。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。



いや、こいつの話はどこまで本当か分からねぇ。大体ヤクザと女性雑誌編集者ってどこにどう繋がりがあるってんだよ。


つか本当だとしても、女性雑誌なんてごまんとある。



しかしこいつ…やたらと顔が広いな。前は映画関係者と親しいって言ってたし。


実際こいつのお陰で“you”の新作映画の試写会に行けることになった。


こいつ―――何もんなんだよ…


「この話はオフレコでお願い。組長に知られたら、『真面目に仕事しろっ!』ってまた怒られちゃうから」


とタイガは急に焦って手を合わせ


「それに会長に知られたら彼女が食べられちゃうに違いない」


と真剣に心配。


食われる…って。


ぉい!叔父貴をなんだと思ってやがんだ!


…てかわざわざ叔父貴に報告することでもないし。言われなくても黙ってるっつうの。


「いいですよ。その代わり、今度寿司をおごってください。回ってないやつ。ここに居るみんなの分も。


あと戒さんも。仲間はずれにしたら後から煩いから」


キョウスケ!


無表情に交換条件とか!相変わらず黒いなっっ!


しかも仲間はずれとか、ガキじゃあるめぇし。戒、ひどい言われようだな…


だけどちょっと否定できないあたし。



結局その場はタイガが寿司をおごると言うことで決着がつき、一行はドリンクを飲み終えて帰っていった。


あたしは二人が入っていったロッカールームがひたすらに気になり、小さなミスを繰り返した。


おネエ店長に叱られるも、その小言も右から左へ流れていくだけ。


やがて二人が出てきたときは、ほっと安心した。


「だ、大丈夫だったか!」


思わず勢い込むと、


「あー、換えは持ってきてなかったけど、拭いたらなんとか」と言って肩を指差す戒。


あたしが言ったのはそうゆう意味じゃなくて…


でも戒にそれ以上詮索することを聞けず…


こんな嫉妬みたいなことして、疑うようなことして





戒に嫌われれるのが





怖かった。








< 672 / 776 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop