。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
あたしはアルバムを持ったまま戒のお部屋へ走って行った。
そろりと襖を開けて、部屋の中央でやっぱり戒と一緒に寝ているキョウスケ。
あたしは部屋の入り口で小声で
「キョウスケ…キョウスケ!」
眠っているキョウスケに呼びかけた。
キョウスケが目を開けて、目を擦りながら身を起す。
「ちょっといいか?」
あたしが部屋の外を顎でしゃくると、キョウスケは眠っている戒をちょっと気にするように見て、そしてあたしに向かって小さく頷く。
キョウスケが部屋から出てきて、後ろ手にパタンと襖を閉じた。
「どうしたんですか?」
「分かったんだよ!タチバナの正体!」
あたしがアルバムを開くと、さすがのキョウスケも目を開いた。
「正体…?」
「思い出したんだ。あいつ、昔に会ったことあるって。
叔父貴の同級だったんだよ」
ほれ!とあたしは叔父貴の制服姿をキョウスケに見せると
「若っ……会長もこんなときがあったんですね。でも学ラン似合わない…
いや、ある意味合ってるのか?番長って感じで」
とキョウスケはしみじみブツブツ。
「叔父貴の学ラン姿も超似合ってるじぇねぇか!超キマってるじゃねぇか!!」
あたしは叔父貴の写真を指差してキョウスケを睨んだ。
まぁキョウスケの想像通り、番長ってのは当たってるが。
気に食わないヤツをシメまくってたからな、叔父貴は。
昔は尖ってたぜ。しみじみ。
「…って、ちっがーーーう!!
叔父貴の制服姿がどうのこうのって問題じゃねぇよ!
この制服、タチバナも一緒の着てたんだよ!」