。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
テニス部!?
それから三日間…あたしたち三人は家でもなんとなくぎくしゃくしていた。
戒は胃炎でリアルに苦しそうだったし、
それを必死で気付かないフリしてるあたし。
キョウスケだけはいつもと変わらず、相変わらず何を考えてるのかさっぱりだ。
だけど戒を見る目つきがどこか鋭い。何かを探ろうとしているのが分かった。
あたしたちはどこかよそよそしくて、お互い探りあいをしているこの不穏な空気は、はたから見てもおかしいと思われていたのか
「お嬢たち…喧嘩でもされたんですかい」
とマサが心配そうに聞いてきた。
「…別に。そんなんじゃねぇよ」とぶっきらぼうに答えるのが精一杯。
―――
―
「はぁ、いつまで続くんだ、この空気は」
ポーン…
黄色いちっさなボールがコートの間を飛び跳ねている様子を見ながらあたしはため息。
ボールがいったりきたりしているのを目で追って、金網フェンスをぎゅっと握った。
夏休みの学校に登校日以外来るなんてな。
あたしはテニス部のコートが囲まれているフェンスの外で、練習風景をじっと見ること5分。
今はテニス部の部員たちがコートの中を行ったりきたり。
こんな暑い中、部活ってのも大変だよな。
テニスウェアは可愛いけど。
太陽がサンサンと降り注ぐテニスコート。その上を走るテニス部女子のウェアを見て…
「かっこいいな。テニス」
と、ちょっとうっとり。
そう言えば叔父貴が軽井沢に別荘持ってたよな。あの人色んなとこに色んなもん持ってるから全部が把握しきれてないけど。
軽井沢の別荘…
白いテニスウェアの戒。おそろのテニスウェアであたしはラケットを振って。
『朔羅、違う。かまえはこう』
あたしの両肩を包みながら戒、ウェアの白より爽やかで優しい笑顔であたしのサポートをしてくれて…
いつになく接近したあたしと戒。
キャ~~~!!
……って、二人ともそんなキャラじゃないか。
『ぅぉおりゃぁ!』戒は錦織 圭もびっくりの本気サーブしてそうだし、
『てめぇ!これがインだとぉ!?
アウトだろぅお!どこに目ぇ付けてんや』
ラインズマンに喧嘩売りそうだし?怒ったら簡単にラケット折っちまいそうだし?
ついでにペアを組んだあたしにも厳しそう。
『おめぇもどこに目ぇ付けてんだよ!』
スパルタだしな。
んでもってあたしも気が短いから
『そこはてめぇのシマじゃねぇか!
てめぇのシマぐらいてめぇで守んな!
やるってんか!ぁ゛あ!』
………
ぁあ…激しくこうなる可能性大だ。
妄想すら可愛くないあたしたち。
ガクリ
そんな考えを断ち切るように
「妄想中失礼します」
と聞きなれた声が頭上から聞こえてきた。