。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
スネークの乗ったトラックは追い越し車線を走行中だ。
「兄ちゃん、横の車線に入るかい?」
トラックの運転手が聞いてきて、白へびは拳銃のマガジンを入れ替えながらも
「いや、このまま走ってくれ」
スネークの姿が見当たらない。途中下車した様子もない。
窓から顔を出すと、
バンっ!!
黒い何かが飛んできて、白へびは寸でのところでそれを避けた。スネークの脚のつま先だ。
スネークはトラックの荷台に掴まり、器用に側面に体を張り付かせていた。
コートの裾が風と走る速度ではためいている。
「無賃乗車かい?スネーク」
「さぁね。君はタクシードライバーとデートかい?いつから趣味が変わった?」
スネークは楽しむように笑って聞いてくる。
「守備範囲が広いんだ」
白へびは装填した拳銃の銃口をスネークに向けて、躊躇なくトリガーを引くと
その一瞬の隙をついて白へびは両脚を振り上げる。
間一髪のところで体を起こして、再びトラックの屋根に昇った。
いつの間にかトンネルを抜け出ていたようだ。
夜空に輝く金髪をなびかせてスネークは赤い眼を細めてニっと笑う。
「兄ちゃん!分岐点だ!どうする!」
そう聞かれて顔を戻すと確かに言う通り分岐点の標識が出ていた。
このスピードじゃ、今更車線変更なんて無理だ。すでにトラックの頭は分離した道へと差し掛かっている。
「交渉決裂だ白へび!
君が敵に回るとは残念だったよ」
別れる道のもう一方を走っていたトラックの上でスネークが腕を組んで笑っている。
「スネーク
本当に残念だよ」
本当に―――
残念だよ
トラック二台、それぞれに別れた道が、まるで自分たちの行く末を暗示しているように思えた。
「私たちは鏡。
君が動いたら、私も動くが
だがその動きは対照だ」
決して相容れることのない―――二人。
白へびは口の中で呟いて、
「さて、次へ行くか」
と拳銃を仕舞った。