。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
ガシャン!
深夜、荷物を運ぶ為にトラックを運転していた男は後部座席で派手な音を聞いて目を開いた。
連日連夜の超過勤務で一瞬居眠りしていたのかと焦った。
接触事故かと思ってルームミラーの角度を変えると
突如見知らぬ男がミラーの中に映って運転手は息を呑んだ。
若い男だった。
白いコートを着ている。黒い艶やかな髪にガラスの破片がくっついていて、男は軽く頭を振った。
どこから入ってきたのか。
後部座席の狭い窓が大破していた。
「あ、あんた誰!」
トラックの運転手がルームミラーを見つめながら必死にハンドルを握っている。
「失礼。回送かい?」
男はにやりと笑い、黒い物体を運転手に突きつけてくる。
その物体はドラマや映画の中でしか見たことのない―――拳銃だった。
「…お客さん…酔ってるんかい?」
運転手は震える声で何とか答えると
「私がトラックジャックする悪者か、それともタチの悪い乗客か、あんたの判断に任せるよ。
どっちだい?」
男は拳銃をさらに突きつけてきて運転手はごくりと息を呑んだ。
「ゲロ吐かなきゃいいよ」
引きつった笑顔で強引に笑うと、
「乗車拒否しないでくれよ?
悪いが、あのトラックを追ってくれないかい?」
「拒否したくてもできない状態だ。何せあんたは招かれざるお客様だ。
兄ちゃん、スタントマンかい?」
「まさか、ただの酔っ払い乗客さ。面白い“タクシードライバー”さん」
男―――…白へびはうっすらと笑い、拳銃を更に突きつけると運転手は一層顔を蒼白にさせて
それでも白へびの言うトラックに追いつこうとするためスピードを上げた。