君へ、約束の歌を。<実話元>


…その曲に被さるのは、



「…祐〜〜っ!!
なんで…なんでっ…!!」



耳を塞ぎたくなるような、
家族の悲痛な叫び。


胸を引き裂かれるかのような、苦しみ。



「アゲハ蝶」とその声は重なって…


私の記憶に刻み込まれた。




私は…


その曲を、封印した。


聞くと、この時の光景が頭に浮かんできてしまうから。



…ゆっくりと目の前を運ばれて行く棺。


…祐ちゃんの名前を何度も何度も繰り返し呼ぶ、家族の悲しみに満ちた声。


胸を突き上げてくる、
とてつもなく大きな痛み――…



もう「アゲハ蝶」は、

聞きたくない。


…聞けない。




祐ちゃんとよく歌ってた曲、


私が今まで好きだった歌の一つが、この日をきっかけに、聞くと涙が出る悲しい思い出の曲になった。




『ばいばい、祐ちゃん…

今まで、ありがとう…』



心の中でそっと祐ちゃんに別れを告げる。



< 144 / 287 >

この作品をシェア

pagetop