君へ、約束の歌を。<実話元>
祐ちゃんは、
私服で絶対にスカートをはかない。
…っていうか持ってないって聞いた。
制服のスカートもすごく嫌がってるし、
祐ちゃんの私服はいつも男の子っぽい格好だった。
髪形や顔立ち、その服装や立ち居振る舞いから、
祐ちゃんは本当の男の子みたいに見える。
グラウンドに入って、
なんとなく校舎を眺めてると。
『…あれ、林先生じゃない?!』
「えっ?…あっほんとだ!」
『呼んでみよっ!林センセー!!』
私と祐ちゃんは、教室のベランダにいる林先生を大きな声で呼んだ。
「…祐ちゃん!?愛璃ちゃん!?」
先生も気付いて、私達のところに来てくれた。
周りの風景や先生の姿が相まって、小学校の頃に戻ったみたいな錯覚に陥る。
…先生がまず驚いたのは、
やっぱり祐ちゃんの髪形だった。
「祐ちゃん、髪すごく短くしたのね〜!」
私が祐ちゃんに言ったのと、同じセリフ。
祐ちゃんは、もう慣れたように照れ笑いを浮かべてる。