君へ、約束の歌を。<実話元>


『陸部、高跳びやってないって聞いたしね〜…』



何回、口にしただろう。


確かに理由の一つだけど…


たてまえとも呼べる、この言葉を。


笑顔が引きつってるだろうなってことは、自分でもわかってる。



「あ〜確かに今高跳びやってる人いないけど…
先生にやりたいって頼めばやらせてもらえるかもよ?」


『えっそうなの!?』


「多分!
だから今年からでも、気が向いたら陸部来てよー!」



そう言い残すと、その子は友達に呼ばれて教室を出ていって。



私はまた一人、高跳びの練習をしている先輩の姿を見つめた。



…高跳びは、正直すごくやりたい。


この気持ちは1年の時からあるし、
今どんどん大きくなってきちゃってる。


でも、陸部で祐ちゃんのことを思い返して辛くなる時があるかもしれない。


そうなった時に、泣かない自信はない。



…それに、



「愛璃〜お待たせ!行こっ♪」



“茶部”って場所も、

今は大切な居場所だから。



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