オノマトペ

何が起きたのか良く分からない拓斗は、龍娘の持っている箱を覗き込んだ。

滑稽な顔のピエロには白い紙がくくり付けられていて、

『拓ちゃんをいじめたからおしおきするぴょんっ』

……というメッセージが書かれていた。


拓斗は青くなった。

思い返せば昨日、拳を血塗れにしながらも修業を続ける龍太郎の姿に感銘を受けた拓斗は、いつも以上に自分の体を苛め抜く修業をしたのだった。

それを兄想いの妹は変な風に勘違いをして──。


「ふ………ふふふふふふ」

龍娘が不気味に笑い出した。

拓斗も龍太郎もビクリと肩を揺らす。

「ふふふふ………ふはははははは！　この私を驚かせるとは、お前の妹もなかなかやりおる！　なぁ拓斗！」

目を見開きながら無理やりな笑顔を作る龍娘。

「す……すみません！　すみません老師！　妹にはきつく言い聞かせますから──申し訳ありません!!」

拓斗、土下座して平謝り。