アゲハ~約束~
「ねぇ、髪きれいだよね。幾つ?趣味とか―――・・・」

「ちょ、ちょっと・・・」



 なに、この人、すごく迷惑。

 アゲハは顔をしかめて彼をにらみつけた。すると。



「こいつ、人見知りするから。」



 助け舟を、幸人が出した。

 紙皿を二人の顔の間にすっと差し出して、二人の間に割り込んですわる。



 夏梅は、アゲハの隣に陣取った。



「おにーさん、誰?てか、日本語上手いね。」

「オーゥ、日本語褒メラレタ、ワタシトテモトテモウレシイネー!」



 ルフナは、ちょっとしたギャグのつもりで、おどけてそんなことをいった。

 けれど・・・幸人、夏梅、そしてなによりアゲハは、その彼の態度に、かなりヒいていた。



「あ・・・」



 それが、ばっちり彼にも伝わったのか。

 彼は肩を落として、すみませんと頭を下げる。

 それからもう一度、にっこりと笑って自己紹介した。



「ルフナ=ウォーカー。今年で二十三。フリーのカメラマンやって、世界中飛び回ってます。」

「世界中?」

「そう。オレ好きなんだ。世界のあちこち見て回るの。」

「日本語がそんなに上手いのは?」

「あー、オレ、生まれ日本なんだよね。だからバイリンガル。あ、ちょっと格好いいな、それ。」



 自分でいいながら、彼は、園長が彼のためだけに握ってくれたおにぎりを口に運んだ。

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