アゲハ~約束~

6.

「・・・なぁ、夏梅。」



 帰りの道をゆっくり歩きながら、幸人はふと顔を上げた。



「・・・さっきのアゲハ、何処か、変じゃなかったか?」

「・・・うん。」



 幸人の感じている胸のざわめきを、夏梅もまた、かすかながら感じていた。

 その感覚に根拠はない。

 ただ、いやな予感が胸をざわめかせるのだ。


 ―――まさか、な。


 幸人はひとりごちて苦笑する。

 まさか、そんなことは、ないよ。

 ―――あり得ない。

 自分で結論をだして、家への道を進もうとする。だけど。



「・・・」



 足が、動かなくて。



 引き返せと、誰かが叫んでいる。



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