アゲハ~約束~
 何故?

 理由はわからない。

 ―――判っていても、考えたくない。

 でも。



「・・・どうして・・・」



 夏梅が、何かに気付いたように呟いて、幸人を見上げた。



「・・・アゲハ、さっき・・・」




 バイバイって、言ったの?




「――――――・・・!!!!」



 不安げな、夏梅の表情と言葉。

 それにガァンと頭を打たれたような衝撃を覚え、その衝撃に突き動かされるように・・・



「っ!!」

「幸人?!」



 幸人は、走り出していた。

 荷物をそこに置き去りにしたまま、全力で。


< 119 / 146 >

この作品をシェア

pagetop