アゲハ~約束~
「・・・園長センセイ・・・」



 泣きそうな顔で、彼は園長に尋ねる。



「オレは、どうしたらいいですか?」



 どうしたら、彼女の傷を癒してあげることができますか?



「――――・・・」



 子供のような顔でそうたずねる彼を見て、園長は、叱った後の子供を見るような感覚でルフナを見つめた。

 そして、そっとその手に自分の手をそえ、微笑みかけた。



「・・・あの子は本当は、とても優しい子です。きっと貴方の素直さを自分と比べてしまって、大嫌いという言葉が出てしまったんでしょう。・・・貴方の素直さは、彼女のコンプレックスを刺激するから。」

「じゃぁ・・・」



 もう、近寄らないほうが?


 そうたずねようとすると、園長は、その言葉を先に察知して首を振る。


 いいえ。と。



「あの子、きっと貴方に謝りたいと思っているわ。だから、傍にいてあげて。そして謝ってきたときは、それを受け入れてあげて。」



 決して、敬遠しないであげて。

 そういって、強く、手を握る。



「あの子は気難しくて、素直じゃない子です。でも本当は・・・とても優しく、可愛らしい心を持っています。・・・それを、判ってあげてね。」

「・・・はい・・・!」



 ルフナは、握られた手を、強く、握り返した。


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