アゲハ~約束~
「ん・・・?」

「・・・」



 そのとき、自分の心が無意識に発した言葉に驚いて、彼女は口を押さえた。



 “好きになればなるほど”?



 ―――そんなわけ、ないよ。



 そんなわけない。



「・・・あなたは、何処かへいってしまうでしょう?」



 だから、この気持ちもきっと何かの間違いなんだと。

 そう思うために、アゲハは、その言葉を繰り返した。



「・・・守れない約束なんて、しないで。」



 ―――期待させないで。



「――――・・・アゲハ。」



 その・・・約束を頑なに拒む肩が。

 とても、小さくて。

 ルフナは、心から思う。



 守りたいと。



 支えたいと。




 ―――――あんたのそれって、恋すっ飛ばして愛してるんじゃないの?―――――




 幸人の言葉が、頭の中に直接吹き込まれたみたいに響いた。



「――――・・・」



 ねぇ、もし。


 この感情に、名前をつけるとするのなら。


 それは――――・・・



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