アゲハ~約束~

4.

 そんなある日―――

 誰もがそろそろルフナの存在を忘れようとしていたとき、学園に来客があった。

 今年の花見でルフナに会って大感激していた、正人だった。



「正人兄・・・どうしたの?」



 その日たまたままた熱を出して学校を休んでいたアゲハが、パジャマ姿のままで迎える。


 園長は、買い物で留守中だったから。




「いや、ほら、ウォーカーさん。ルフナさんの写真集をな?優しい正人兄はこの園に寄贈してやろうと思ったのよ。」



 ほれみろ、と、彼が差し出した紙袋には、数冊の本が入っていた。

 どれもボロボロで、読みつぶした本のようになっている。



「俺、新しいの買ったから。」



 読みつぶしたら、新しいものを買うほどすきなのか。

 彼のその様子に苦笑いしながら、アゲハはそれを受け取る。



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