アゲハ~約束~
「・・・どうしたの?」



 アゲハが顔を上げると、彼はニコニコ笑って、アゲハに近づいて、その髪をなでる。



「素直な子になってきたなぁとおもって。」



 出会ったころは、人がうらやましいなんて素直に言える子じゃなかったじゃない。



 そういわれて、アゲハは顔を赤くする。

 そうだ、ルフナに出会ったころは、彼がうらやましくて、でもそれを言えなくて。


 代わりに出てきた言葉は「大嫌い」だった。


 今考えれば、なんて子供っぽい。



「もう・・・忘れてよ。そういうことは。」

「いいことじゃない。人間素直が一番。」

「・・・もう。」



 満面の笑みを浮かべるルフナにため息をついて、アゲハは、くるっと背を向ける。

 ルフナは、再びカメラを構えて何枚もアゲハを撮りながら、彼女から数歩引いたところから一緒に歩いた。



「・・・ルーの、そういう素直なところ、すごく嫌い。キラキラしちゃって。」

「ええー。」


「・・・でも・・・」




 ―――でもね。


 アゲハは立ち止まった。


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