アゲハ~約束~
 彼は、安心したようにため息をつくと、アゲハの髪をくしゃくしゃっとなでた。



「アゲハ、よく笑うようになった。」

「え・・・そうかな。」

「うん。・・・よかったな。」

「・・・うん。」



 笑顔が増えたことを喜んでくれる親友。


 それがあることを素直に喜べるようになったのも、きっと、彼のおかげ。


 恋をして人は変わるというけれど、それを自分が実感するなんて思わなかった。

 必ず約束を果たしてくれる彼への信頼が生まれたら、自然に約束への期待も抱けるようになっていた。




 幼いころに受けた深い傷を、ゆっくりと、癒していけているような気がした。


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