アゲハ~約束~

4.

 そして、高校三年の、冬。

 アゲハの指定校推薦が決まり、何とか息がつけたころ、再びルフナは日本をたつことになった。



「今回はさ、短め。一ヶ月もしないで帰る予定だから。」

「うん。」

「それで・・・これ。」



 別れ際、ルフナは一つ、彼女に贈り物をした。


 それは、小汚い携帯電話だった。


 シルバーで、ところどころに小さな傷がついている。



「・・・これね、オレとアゲハの、ホットライン。」



 専用電話。

 彼は照れたように笑って、携帯を握ったアゲハの手に、上から手をかぶせる。



「必ずこっちにメールするし、電話する。だから・・・その・・・他と、区別しておいて。」

「・・・」



 最後の言葉はしりすぼみ。

 恥ずかしさに耐えかねて、彼はどんどんうつむいてゆく。

 そんな彼がなんだか可愛くて、「それって、独占欲?」だなんてからかおうかとも思ったけれど、やめて、素直にそれを受け取った。


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