アゲハ~約束~

8.

 そのとき、ないてしまったのがよかったのか。

 アゲハは、何とか人としての生活を再び送るようになった。

 寝て。

 起きて。

 食事をして。

 話をして。


 けれど――・・・物悲しい気持ちは抜けなかった。


 毎日を生きるのが、ただただ苦しくて。

 ただ、日がな一日ルフナが最後に贈ってきた写真を、ずっと眺めていた。

 ―――しかし。



「・・・」



 ある日、ルフナの残した写真を見ていたアゲハは、ふと、なにかに気付いてそれを拾い上げた。

 写真に写る、住所を書いたボードを持った老若男女さまざまな人の姿。



「・・・この人たちの、家族も・・・」



 今、あたしと同じ気持ちでいるの?


 ―――違う。


 私には、彼の残してくれた写真がたくさんある。

 彼が見せた、最後の笑顔が、全部で、72枚。



 でも、彼らには―――・・・


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