恋花よ、咲け。




「…このタオル 誰の?」


振り返り、こっちを見てくれた。


今度は 優しく笑わなきゃ!


「あ、私のだよ。
返すの いつでもイイからね。
あ 洗わなくてもイイよ。」


ぎこちなくだが頑張って笑う。


「え、高木の?
なんかごめん、普通に使った。
臭くはないから 安心しろー。」


弘也がははっと笑う。


「え、臭いなんて思わないから!」


思わず 笑ってしまう。


その笑みはもう
頑張った笑顔ではなかった。


あぁ、またさっきまでの
哀しくて 虚しくて どうしようもない
想いが スッと消えて
温かな心が広がっていく。


「…ありがとう。」


静かに 微かに 自然と溢れる。


その呟いた言葉は
あなたの背中に届けた言葉。


「こちらこそー。」


あなたの背中から聞こえた言葉。


私に届いた言葉。


何でだろう。


胸が苦しいよ。




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