恋花よ、咲け。
「……ヒロ?」
夏にしては少し冷たい風が
顔にぶわっと吹き当たる。
「えぇ。
…瑞月 弘也の事でしょう?」
あぁ、ヒロって言うのは
弘也の弘だったの。
「…違ったかな?」
彼女は 困ったようにそう言った。
ふと、彼女のはるか後ろで騒ぐ
ユニフォーム姿の集団を見た。
そして"まみ"の名を呼ぶ存在に
息が止まった。
必死に息を吸い、答えた。
「あぁ いや 探していたとかじゃなくて
侍っていうチームをたまたま
知っていたから…。
ありがとうございました。 でわ。」
最後は適当になったものの
何だかその場から逃げたくて。
何かが耐えきれなくて
我慢できなくて。
「奈穂ー? 何話してきたのさー!」
「ううん、何でもないよ。」
上手く笑えたか分からないけど
今は誰の顔も 何故だか見たくなくて。