《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~
母上は俺と滋弥を生んだが…養育は父上任せ。


母上の愛情を必要とする幼き頃には、目も暮れなかった。



そんな母上が瀕死の状態の滋弥の手を取り、頬をすり寄せて、回復を祈る。



滋弥を気遣ってるいるわけではない。

滋弥の中に眠る『紅鬼』の始祖・紅月の霊魂を気にかけている。



「ヤツは朱月と名乗っていた…」



「そうね血の色のように真っ赤ではないから…知弥の中に眠る霊魂の方が力は遥かに上ね…早く…覚醒させてちょうだい」


「冗談じゃない…俺は紅月の力なんて不要だ…」


「でも、知弥も…その花奏さんを隷属してるようね。どんなにあなたが強いと言っても吸血鬼の本能には勝てなかった…」



「うるさい!」


「滋弥のコトは私は看病するから…早く安倍家の邸宅に戻りなさい…あなたには他にやるべきコトがあるでしょ?」



「言われなくても帰る!…行くぞ。花奏」


俺は花奏の右手を掴んだ。






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