《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~
俺も母上の言う通り、吸血衝動を結局、抑え込むコトはできなかった。



今まで、頑なに拒み、虚勢を張り、悶え苦しんだ。



でも、今は花奏の血がなければこの渇きに耐えるコトなどできない。



それだけ、花奏の血の味に溺れ、病むほどに欲している。



俺は花奏の前では本当にヤワな男だ…


邸宅の戻ろうと千早が車を走らせる。


花奏はフルスモークの窓から、夕映に染まる街を眺めていた。



「花奏…」


俺は無意味に彼女の名前を呼ぶ。


「何?知弥」


「唯、お前の名前を呼びたかった…」


「何それ?」
花奏は俺に笑って突っ込みを入れる。



「なんだろう…な。俺にもわからない…でも気の強いトコ…前世と変わらないな」


「知弥だって、前世と同じでその意地悪なトコ、変わらないよ」


「お互い様…か…フッ」











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