《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~

惑いの滝行~花奏side~

互いに白装束の姿で神官の案内で、神社裏の滝壺へと歩いていく。



研ぎ澄まされた荘厳な空気が私の全身を包んでいく。妖たちが眠る陽の刻。



禊には適した時間。
禊をするのは初めてじゃないけど。


こんなにも清浄な気が保たれ、澄み切った滝は目にしたコトがない。


私は空を仰ぐと共に、滝の流れる先を見つめた。
常に下流へとめどなく水は流れてゆく。


「己の持つ煩悩の全てを削ぎ落とし、神の洗礼を受け、神力を授かり、己の気の力を高める…それが禊だ」



「はい」


知弥は優しく私に言い聞かせた。



そして、滝の正面へと先に近づいて膝を折り、手を水面につける。


「俺が先に見本は見せるから…お前はここで見ていろ」


「はい」


何も分からない私は知弥の言葉に『はい』しか言えない。









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