《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~

美しき花~知弥side~

滝行で削ぎ落としたはずの煩悩を起こし、花奏に俺はキスを落とした。



驚きで花奏は瞳を見開いた、俺はそんな彼女の反応を楽しみ、キスの深さを加減した。


全く不謹慎な行いをしてしまった。


でも、今まで味わったコトのないスリルがあって、背徳的なキスに心も躰も高揚した。





『お神酒』を飲み、儀式は終了した。


神殿の廊下に座り込み、庭を眺め、夜まで時をやり過ごす。



「ねぇ~あんなコトしちゃってよかったの?」



「ん、あ…お前が悪いんだ…お前が俺に煩悩を呼び覚ましたんだ」



「私が?私は何も…」


俺は見るともなしに、庭の芍薬に目を遣った。
芍薬は桜と同じピンクであるが、濃いピンク色の大輪の花。



「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」


「えっ?」









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